火星
火星は太陽から4番目の、赤いちりに覆われた惑星です。1日の長さや季節が地球に似ていて、昔は水が流れていた跡もあることから、生命の痕跡探しがもっとも盛んに行われている惑星です。
| 太陽からの平均距離 | 1.52 AU(約2億2,800万km) |
|---|---|
| 直径 | 6,779 km(地球の0.53倍) |
| 表面重力 | 地球の0.38倍 |
| 1日(自転) | 約24時間37分(太陽日 約24時間40分) |
| 1年(公転) | 約687日(地球の約1.88年) |
| 自転軸の傾き | 約25.19° |
| 平均気温 | 約-63°C |
| 衛星 | 2個(フォボス、ダイモス) |
| 環 | なし |
どんな惑星?
火星は太陽から4番目の惑星で、平均約1.52 AUの距離を回っています。直径は約6,779 kmで地球の半分あまり、表面重力は地球の約0.38倍です。地球で体重計が50 kgを示す人なら、火星では約19 kgになります。
火星は、鉄を多く含む核と岩石のマントル、地殻からなる岩石惑星です。土やちりには酸化鉄(いわば鉄さび)がたくさん含まれていて、これが赤っぽい色を生み、「赤い惑星」というニックネームの由来になっています。
火星には、太陽系でも指折りの壮大な地形があります。オリンポス山は高さ約22 kmで、エベレストの2倍以上もある火山です。マリネリス峡谷は長さ約4,000 km、深さは最大約7 kmにもなる大峡谷です。干上がった川の跡や三角州、古い湖の底のような地形から、はるか昔には表面を液体の水が流れていたと考えられています。
火星は約24時間37分で1回転し、地球とほぼ同じです。自転軸は約25.19°傾いているので地球のように四季がありますが、1年が約687日あるため、ひとつの季節は地球の約2倍の長さです。
大気と天気
火星の大気は約95%が二酸化炭素ですが、とても薄く、地表の気圧は地球の1%にも届きません。熱を閉じ込める空気がほとんどないため、平均気温は約-63°Cと極寒で、1日のなかでも気温が大きく変わります。赤道付近の夏の昼には20°C近くまで上がることもありますが、夜には-70°C以下まで下がることもあります。
火星を代表する天気は砂嵐です。小さなつむじ風から、何週間も何か月も惑星全体を覆う巨大な嵐までさまざまです。2018年には惑星全体を覆う砂嵐が太陽の光をさえぎり、太陽電池で動いていた探査車オポチュニティの任務が終わる原因になりました。
両極には白い極冠があります。水の氷の上にドライアイス(凍った二酸化炭素)が重なっていて、季節が変わるとドライアイスが凍ったり気体に戻ったりするため、極冠が大きくなったり小さくなったりします。地下に大量の氷が埋まっていることも、複数の探査機によって確認されています。
衛星と環
火星には小さな衛星が2つあります。1877年にアメリカの天文学者アサフ・ホールが発見し、ギリシャ神話の軍神アレスの2人の息子にちなんでフォボスとダイモスと名づけられました。どちらもでこぼこしたじゃがいものような形で、とらえられた小惑星なのか、大きな衝突で飛び散ったかけらからできたのか、2つの説が検討されています。
- フォボス:2つのうち大きいほうで、平均直径は約22 km。火星の表面から約6,000 kmの高さを約7時間40分で1周するため、火星から見ると1日に2回、西からのぼって東に沈みます。少しずつ火星に近づいていて、数千万年後にはばらばらに砕けるか、火星に落ちると予想されています。
- ダイモス:平均直径約12 kmと小さく、より外側を約30時間で1周しています。
火星に環はありません。
探査の歴史
火星は、地球以外の惑星のなかでもっとも多くの探査機が訪れた惑星です。失敗も数多くありましたが、そのぶん多くのことがわかってきました。
- マリナー4号(アメリカ、1965年):火星のそばを通過し、初めて近くから撮った写真を送ってきました。クレーターだらけの表面に、多くの人が驚きました。
- マリナー9号(アメリカ、1971年):ほかの惑星を回る軌道に入った最初の探査機です。巨大な火山や峡谷の姿を初めて詳しくとらえ、マリネリス峡谷はこの探査機にちなんで名づけられました。
- バイキング1号・2号(アメリカ、1976年):表面に着陸して写真を撮り、土のなかに生命がいるかを調べる実験を行いました。
- マーズ・パスファインダーとソジャーナ(アメリカ、1997年):小さな探査車ソジャーナが、火星の表面を初めて走り回って岩石を調べました。
- スピリットとオポチュニティ(アメリカ、2004年着陸):過去に水があった証拠をいくつも見つけました。オポチュニティは約90日の予定だった任務を14年以上も続けました。
- キュリオシティ(アメリカ、2012年着陸):ゲール・クレーターで、古い湖の跡や有機物を調べています。
- パーサビアランス(アメリカ、2021年着陸):昔の三角州があったジェゼロ・クレーターで岩石のサンプルを集めています。いっしょに運ばれた小型ヘリコプターインジェニュイティは、2021年にほかの惑星で初めての動力飛行に成功しました。
ほかにも、インドのマンガルヤーン(2014年に周回軌道へ投入)、アラブ首長国連邦のHOPE(2021年)、中国の天問1号と探査車・祝融(2021年)など、多くの国が火星探査に加わっています。日本も1998年に火星探査機「のぞみ」を打ち上げましたが、2003年に火星を回る軌道への投入を断念しました。現在JAXAは、火星の衛星フォボスから砂を持ち帰る探査計画MMXを進めています。
おもしろ豆知識
- 火星の夕焼けは青っぽく見えます。大気中の細かいちりが、青い光を太陽の方向へより効率よく散乱させるためです。
- 火星の1日は「ソル」と呼ばれ、約24時間40分です。探査車の運用チームは、しばらく火星時間に合わせて生活することもあります。
- 地球と火星はおよそ2年2か月ごとにいちばん近づき、探査機を送る絶好のチャンスになります。
- 火星には地球のような惑星全体を包む磁場や分厚い大気がないため、地表にはずっと多くの紫外線や宇宙放射線が降り注いでいます。
Planeticaで見てみよう
太陽系ビューでは、火星は地球のすぐ外側、4番目の軌道に現れます。位置はJ2000軌道要素をもとに今日の日付で計算されているので、火星がいま地球側の近くにいるのか、太陽の向こう側の遠くにいるのかがすぐにわかります。地球と火星が並んでいるときこそ、実際の夜空でも火星が明るく輝く時期です。
火星を選んで飛んでいくと、2つの衛星フォボスとダイモスがいっしょに回っているのが見えます。実際の衛星は直径10〜20 kmほどしかなく、本当の縮尺ではほとんど見えないため、画面では大きく描かれています。大きさ、重力、1日の長さ、自転軸の傾き、平均気温、公転周期は実際の値にもとづいています。
表面の模様はPlaneticaの惑星生成機能が作ったものです。オリンポス山やマリネリス峡谷の本当の位置を示す地図ではないので、赤い惑星の雰囲気を味わうつもりで楽しんでください。
ほかの惑星
自分だけの惑星系をつくろう
名前と誕生日を入れると、世界にひとつだけの惑星系が生まれ、誕生日の星座にある実在の星のそばに置かれます。